夜想曲
Nocturnes -
triptique symphonique
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曲目 :
(全3曲) |
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1892年に作曲に着手され,1899年までのおよそ7年を掛けた,ドビュッシーの印象主義的手法を代表する傑作。しかし,その創作過程が最も不明瞭な作品の一つ*。3曲からなる。標題の『夜想曲』は,スインバーン詩「夜想曲」(1876年)に着想したとされる。 当初は1892年に,アンリ・ド・レニエの詩に着想した『3つの黄昏の情景(Trois scènes au crépuscule)』としてまず構想された。次いで1894年には第一楽章が弦楽,第二楽章が管楽合奏,次いで終章を管弦楽の合奏による『(ヴァイオリンと管弦楽のための)夜想曲』として,ベルギーの作曲家でありヴァイオリニストであったウジェーヌ・イザイに献呈すべく再度構想された(ルロール宛書簡:1894年8月28日)。ドビュッシーはイザイに宛てて,「僕が愛し,感嘆しているユジェーヌ・イザイのために書かれたヴァイオリンと管弦楽のための三つの《夜想曲》が加わることになるだろう。それに,それらの《夜想曲》は彼だけにしか演奏できないんだ・・君はこのことについてどう思うかな?」(1896年10月13日)との書簡を送っている。しかし11月(17日か),イザイがこれを辞退したことから関係が疎遠になり,この版も破棄された**。ドビュッシーは1897年12月から稿を改めて作曲に入り,1898年6月25日には草稿を書き上げた。しかし,「『夜想曲』の三曲には,『ペレアス』の五つの幕よりもてこずった」と作者自身が述べている通り,9月14日には2楽章分をやり直し,翌1899年1月には全ての管弦楽配置を再度やり直すなど,数度の改訂が行われている。最終的に書き上げられたのは,1899年12月末であった。献呈者はジョルジュ・アルトマン。このほか部分的草稿が1901年元旦,「僕が夫であるという深い情熱的な喜びを込めて」の献辞を付けられて,リリー・テクシエに献呈されている。 当初,初演はコロンヌ管弦楽団によって行われる予定であったが,コロンヌはこれを断念。このため,ジョルジュ・アルトマンの仲介で,初演はシュヴィヤールに託され,1900年12月9日のラムルー管弦楽団定期演奏会において,「雲」と「祝祭」の2曲のみの形でなされた***。初演は好評をもって迎えられ,ガストン・カローは「彼は・・和声や響きを,限りなく革新的な諸関係に従って,組み合わせる術を知っている」と評し,ブリュノーは「和声やリズムだけで,作曲家の思考を最も独創的かつ最も驚異的なやり方で表現するには十分なのだ」とした。しかし,翌年に行われた全曲版の初演は,熱狂的な喝采を受けるいっぽう,第三曲の演奏中に野次が飛ぶなど,矛盾する反応を生みだしたという****。 |
シュヴィヤール |
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Reference 平島三郎編著(1993)『ドビュッシー』音楽之友社,72頁。 F. ルシュール著・笠羽映子訳「伝記 クロード・ドビュッシー」. {Lesure, F. 2003. Claude Debussy, Biographie critique. Paris, Fayard.} F. ルシュール著・笠羽映子訳「ドビュッシー書簡集」. {Lesure, F. 1993. Claude Debussy, correspondance 1884-1918, Paris, Hermann.} Ashbrook, W. and Cobb, M.G. 1990. A portrait of Claude Debussy. Oxford: Clarendon Press. {Dietschy, M. 1962. La passion de Claude Debussy. Neuchâtel: Baconnière} Barraque, J. 1962/1994. Debussy. Editions du Seuil. Lockspeiser, E. 1962. Debussy: his life and mind volume 1, 1862-1902. New York, Macmillan. Lockspeiser, E. 1972. Debussy. New York: McGraw-Hill. Nichols, R. and Lesure, F.(eds.) 1987. Debussy letters. Harvard University Press. |
作曲・出版年 | 作曲年: 1897年12月〜1899年12月(改訂版1930年,1964年) 出版: 1900年2月(フロモン社) |
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編成 | フルート3(第3奏者はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン、クラリネット2、バスーン3、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、小太鼓、シンバル、ハープ2、女声合唱団(ソプラノ8,メゾ・ソプラノ8)、弦5部 ※ラヴェルとバルダックにドビュッシーが依頼した2台ピアノ版もある。 | ||||||||||
演奏時間 | 約25分 | ||||||||||
初演 | 1900年 12月9日,カミーユ・シュヴィヤール(指揮)ラムルー管弦楽団、於コンセール・ラムルー(「雲」・「祝祭」のみ) 1901年10月27日,カミーユ・シュヴィヤール(指揮)ラムルー管弦楽団・女性合唱団(全曲初演) | ||||||||||
推薦盤 |
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(2001. 5. 23 / 2006. 3. 12 改訂)
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